7月4日が独立記念日のため(?)いつもの金曜日のCoT開示が翌月曜までずれ込みました。下のチャートは最新のものです。
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この直近CoT3週での投機筋ショートの積み上げはとても大きなもので、三週で68K枚も増えています。これは68K*28*100=190Mグラム=190トンに相当します。この量がどの程度かというと、World Gold Councilの最新の報告では世界のゴールド投資需要は週あたりで20トン程度ですので如何に大きいかが解るでしょう。これだけ多量に短期間でショートされるとロング側で消化できるものではありません。2017年7月に匹敵するほどの投機筋ショートが積み上がっています。今後数週間から数ヶ月でこの巨大な空売りは買い戻されます。できれば買い戻しがゆっくり起きてくれれば、相場は大きくなります。2016年前半がそうでした、主要メディアでゴールドはもっと下落するという記事が氾濫してくれると望ましいですが・・これは希望的観測に過ぎません。また投機筋ロングはまだ261K枚程度しかなく、昨年の売買レンジからするとまだまだ大きな買い余地が残されています。ということはショートカバーで価格が上昇し始めるとそれを追いかける投機筋ロング側も多数いるということです。一方、当時と比べると実需筋のロングは現在もっと多くなっています、実需筋のロングとは宝飾業者の加工品手配ということですから、彼らはこの先もっと高くなると感じ、今手配しようと考えているのでしょう。

ゴールドETFの資金流出入をみると6月18日時点まででも昨年に匹敵するほどの資金流出が見られます。6月18日以降もゴールド価格は下落しており、さらに流出量は増えているでしょう。昨年はこの流出後に一時的に大きな流入となったのですが、予想外のトランプ勝利とその後の減税期待株価上昇でゴールドETFへの資金流入が途絶えてしまいました。
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2016年1月からのゴールドの大きな上昇を振り返ると、先物ポジションはさておき、当時投資家のS&P500に対する不安が大きくなりゴールドETFの大きな買いが続きました。それを生み出したのは二回の下落であり、最初は2015年8月の下落でした。この時はその直前に人民元の大きな減価があり、それを見てS&P500が下落したのでしたが株価すぐに回復しました。これだけでは投資家を不安にするほどではありませんでした。その後2016年1月の営業初日に上海株式取引所でサーキットブレーカー運用初日から発動となり、それをみて投資家は不安になりS&P500も下落を続けました。こうなると投資家も不安になりGLDのようなゴールドETFを積極的に買い進めたわけです。

一方今年を見てみると。今年2月初めにもS&P500は下落しましたが、それだけでは投資家はまだ不安になりません。もう一度大きな調整があると投資家は不安になるでしょうがまだその状況にはなく、みな安心感に浸っています。今回の貿易戦争でもS&P500は下落すること無く積極的に買い進まれています。人民元の切り下げもありますが、株式市場は気にしません。世界銀行総裁は貿易戦争や積み上がる世界中の債務に懸念を示しますが、これも馬の耳に念仏です。

大統領一期の中間選挙では政権政党が負けその後株価は上昇する傾向にあり、となると10月ころにS&P500が下落するかなあ・・などと想像しています。その原因はというとインフレ懸念くらいしか思いつきませんがどうでしょう?。


それこそ北朝鮮がまた話題になることなんかも否定はできません。テレビや新聞を見ててもあのポンペオ氏は席を立っても良さそうなのに、ニコニコとトランプ大統領の使い走りをしている印象を受けます。トランプ大統領からは、中間選挙まではニコニコ笑顔で引っ張ってくれよ、って指示されているとしかおもえません。ポンペオ氏の言っていることと北朝鮮の行動とあの笑顔がなんともちぐはぐですよね。もっともポンペオ氏が自らの持論を主張するとすぐ首になるだけでしょうが。こういう想像は世の中のブログネタですが、まあどうなりますか。

最善のシナリオは、投機筋のショートカバー、次にロングの追いかけ、その後投資家のGLD買い増しです。これが上手く連続的につながると大きなゴールド上昇相場を形作ります。

最近のゴールド下落で驚くのは金鉱株がそれほど影響を受けていないことです。すでに弱い手はずっと前に消え去り、残るのは筋金入りの強い手だけで、この程度のゴールド価格下落では売らないということなのでしょう。
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今後数週から数ヶ月のゴールド上昇でGDXJがどう動くか楽しみです。